2025年度からの高校授業料無償化拡大政策が衆議院本会議を通過した。
この政策により、所得制限が撤廃され、全世帯が支援対象となる。
しかし、朝鮮学校だけは過去15年間、一貫して支援対象から除外され続けている。
なぜ朝鮮学校だけが対象外とされるのか。
「子どもの権利条約や国際人権規約に反する差別だ」
「差別のない教育機会を保障しなければならない」
という意見がある一方
「朝鮮学校は基準をクリアしていないだけで差別ではない」
「日本にミサイル撃ってくる国の子供達に、お金を出してあげるとか、どんなお人好しですか?」
などの声も。
高校授業料無償化制度の概要から、朝鮮学校が対象外になった理由について「政治」「法律」「教育」の3つの視点から徹底解説。
高校授業料無償化拡大政策とは?

日本に暮らす外国人の子どもたちの教育を支える外国人学校。
2010年から始まった高校無償化制度ですが、朝鮮学校のみ対象外に。
どのような条件を満たせば対象となるのか、複雑な認定基準や実施内容を解説。
【高校無償化政策】詳細・金額
政府は2025年度から高校授業料無償化政策を大幅に拡大することを発表。
これまで年収910万円未満の世帯が対象だった就学支援金について、所得制限を完全に撤廃し全世帯を対象にした。
公立高校では授業料相当額である年11万8,800円が全世帯に支給され、実質的な無償化が実現する。
私立高校については、現行の年39万6,000円から支援金を順次引き上げ、2026年度には年63万円まで増額する予定だ。
今年4月からはまず45万7,000円に引き上げられる。
この拡大により、新たに87万人の高校生が支援金を受け取り、83万人は支給額が増えると予測されている。
政策実施には1,064億円の税金が追加投入される事が決定した。
【外国人学校】 無償化の対象となる学校の条件とは?
無償化の対象校は、学校教育法第1条で定められた「一条校」と呼ばれる正規の学校だけでなく、「各種学校」や特定の「団体」扱いの高校にも拡大。
外国人学校の多くは「各種学校」として就学支援金の対象となっており、ブラジル、韓国、フランスなどの外国人学校が含まれる。
しかし、朝鮮学校だけは一貫して支援対象から除外されている。
この無償化政策は民主党政権だった2010年4月から導入され、当初は朝鮮学校も対象になる予定だった。
ところが、2012年12月に自民・公明連立政権に交代後、当時の下村博文文部科学大臣が朝鮮学校を無償化の対象としない方針を表明。
翌年に文科省が省令を改正し、朝鮮学校は対象から除外された。
朝鮮学校が無償化対象外になった理由とは?

朝鮮学校だけが高校無償化から除外され続ける異例の事態。
北朝鮮との緊張関係や朝鮮総連との繋がりなど、教育と国際政治の関係とは。
鮮学校が無償化対象外となった法的理由
朝鮮学校は日本の学校教育法第1条で定められた「一条校」ではなく、「各種学校」に分類されている。
「一条校」とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学および高等専門学校を指し、法律上の「学校」として認められた教育機関だ。
「各種学校」は「学校教育に類する教育を行う施設」として位置づけられており、法律上は完全な「学校」とは認められていない。
朝鮮学校が「一条校」として認可されるには、学校法人として設立され、日本の教育基準に適合した運営を行う必要がある。
【無認可】朝鮮学校が無償化の対象外となる理由
文部科学省は、朝鮮学校が「日本の学校教育法に基づいた学校」ではなく、無償化制度の要件を満たしていないと主張。
認可を得るためには、授業時数や教員数、施設・設備など、都道府県が定める一定の基準を満たし、知事の認可を受ける必要がある。
また、一条校として認可されるには、学校法人として設立される必要があるが、朝鮮学校は財政的・運営的に北朝鮮や朝鮮総連との関係が指摘されており、この点が認可の妨げとなっている。
朝鮮学校無償化問題の政治的・外交的要因とは?
政治的、外交的な要因も除外理由だ。
日本政府は除外理由として、「北朝鮮による拉致問題の進展がないこと」や、朝鮮学校と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との「密接な関係」を挙げている。
具体的には
- 拉致問題の進展がないこと
- 北朝鮮は2002年に拉致を認めたが、その後進展がなく、日本政府は被害者の帰国を求めている。
- 朝鮮総連との密接な関係
- 朝鮮総連が朝鮮学校の教育内容や財政に影響を与えているとされる。
- 教育内容は北朝鮮本国の政策に基づいており、主体思想を教えている。
- 問題点と影響
- 拉致問題や朝鮮総連との関係が、日本政府による公的支援除外の理由となっている。
下村文科大臣は2012年12月の記者会見で、現時点で無償化を適用することは国民の理解を得られないと語った。
政府は「都道府県知事の認可を受け、学校教育法第1条に定める日本の高校となるか、または北朝鮮との国交が回復すれば」適用の対象になると説明している。
しかし、この条件は現状では実現が難しい状況だ。
田中宏教授「朝鮮学校だけ無償化の対象外は差別」

田中宏教授は「朝鮮学校の生徒は大人たちの政治問題に関して何の過ちもないにもかかわらず、日本政府の教育政策で差別を受けてきた」と主張する。
また、「日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク」などの市民団体は、
「児童差別を禁止した現行の日本の『こども基本法』に反するものであり、国連の人種差別撤廃委員会と子どもの権利委員会が『差別のない教育機会を保障しなければならない』と勧告したことに真っ向から反する行為」
だと指摘している。
実際に日本は「子どもの権利条約」や「国際人権規約」を批准しており、これらに基づき全ての子どもへの教育機会を平等に保障する義務がある。
しかし、朝鮮学校のみを除外する現状はこれら条約に反するという主張だ 。
「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」は「不当な差別はただちにやめ、朝鮮学校に対する支援を回復せよ」と要求している。
この集会には朝鮮学校の生徒約100人と教師約10人、立憲民主党の議員3人も参加した。
朝鮮学校で教えられている内容とは?

一方で、朝鮮学校の教育内容については疑問の声も上がっている。
朝鮮学校で使用される教科書は、日本の文部科学省が定める学習指導要領に基づいた検定教科書ではなく、朝鮮総連傘下の出版社が作成した独自の教材を使用している。
教科書には金日成・金正日父子への礼賛が繰り返されており、北朝鮮の核開発やミサイル発射について本国と同様の肯定的な記述が見られるという指摘がある。
特に拉致問題については、2002年の日朝首脳会談以降「拉致は犯罪」という認識を示す記述が期待されたが、実際の教科書にはそのような記述は見られないとされる。
北朝鮮は1950年代後半から2017年までの間に計163回、総額480億599万390円の支援金を朝鮮学校に提供してきた。
2017年には金正恩名義で2億1880万円の「教育援助金と奨学金」が送られたが、現在はこれらの支援も途絶えている。
【 市民の声】朝鮮学校無償化を巡る賛否両論

この問題に対する国民の意見は分かれている。
「日本人を拉致し返しもしない危険な国に何で日本が一方的に支援しないといけないのか」
「欧米でも日本人学校に通う日本人に金銭的な支援してる国なんて無い」といった否定的な意見がある一方で、「子どもに罪はない」と支援を求める声もある。
また、
「朝鮮学校は基準をクリアしていないだけで差別ではない」
「無償化希望なら基準をクリアする学校作りをすればよい」
という意見や、
「日本にミサイル撃ってくる国の子供達に、お金を出してあげるとか、どんなお人好しですか?」
といった政治的背景を重視する声も目立つ。
一部からは「相互主義」を求める声もあり、「海外日本人学校を無償化する国があるなら、相互主義でその国の日本にある学校を無償化しても良い」といった意見も見られる。
【まとめ】朝鮮学校無償化問題の未来
高校授業料無償化政策は大幅に拡大されたが、朝鮮学校は今回も支援対象から除外された。
この問題は単なる教育政策の問題ではなく、日朝間の複雑な政治的・外交的状況が深く関わっている。
朝鮮学校への無償化や公的支援については、子どもの教育を受ける権利という人道的観点と、北朝鮮の政治体制や拉致問題などの政治的観点が交錯している。
議論の焦点は「教育内容」「運営体制」「政治的影響」の透明性と、日本社会全体としてどこまで支援すべきかという価値判断にある。
差別撤廃を求める勧告が出されており、人権問題としての側面も無視できない。
一方で、朝鮮学校が日本の教育基準に適合しているか、北朝鮮や朝鮮総連からの不当な影響を受けていないかという懸念も根強い。
今後も無償化拡大政策と朝鮮学校排除の問題は、日本社会において教育と政治の間で揺れる難題として、議論が続いていくことになりそうだ。
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